同窓会会長あいさつ

信州大学医学部保健学科同窓会会長 川 上 由 行
信州大学名誉教授/医学部特任教授(研究)


発足から20年が経過した保健学科同窓会は、2027年の25周年へ向かって歩み始めました。その歩みの中で、同窓生の学術活動を顕彰する制度が伊澤淳名誉会長(保健学科長)により提起され、保健学科拡大補佐会議、同窓会幹事会、理事会、総会で審議され、「保健学科同窓会若手優秀論文賞」創設が信任されました。そして、第一回授賞式を今年度に挙行する運びです。「応募要項」に従い奮って応募くださるようお願いします。「保健学科同窓会若手優秀論文賞」の受賞が、広く同窓生にとって憧れの“ステータス”となっていくように祈念するものです。


さて表題についてです。5月24日開催幹事会での一コマです。副会長1名の2名への変更案件を討議し、理事会、総会への審議に附することになりました。規約改定を伴なう事案でした。


ここで、一つの意見が出ました。会長1名、副会長1名、理事16名、監事2名など、具体的に規定しているが、幹事のみ「若干名」です。現状の8名が「数名」ならまだしも、「若干名」は馴染まない。幹事の人数も現状に沿ってスッキリさせ、副会長の人数とセットで改定しましょう、というものでした。


実は、規約原案作成者は私で、敢えて曖昧な「若干名」とした経緯を思い出していました。発足当初の保健学科同窓会は幹事3名で発足し、徐々に増員して現在の8名となりました。私も、「若干名」なのに「8名」には、少し違和感がありました。しかし、幹事のお一人が即座に手元のスマホで検索し、「若干名は、一人から十名までの人数です」と調べてくれた。この一言で、幹事会では「副会長の人数のみ」の改定案に落着したのでした。


皆さんはご存じでしたか? 私は、曖昧な人数を示す「若干名」と「数名」について調べ直して見ました。そして、辞書により、また版により、特に「数人」では記載に揺れが見られることを知りました。


先ず「若干名」ですが、手元の小学館国語大辞典(昭和56年発行)に明快な記載がありました。若干の干を分解して「一」と「十」にし、一の若(ごと)く十の若(ごと)し」の意で、「一」から「十」で定まらない数をいう、とあります。現在8名の幹事が今後1~2名増員されてもOKだったのです。


次に「数名」です。辞書ごとの記載に揺れがあります。確実に言えるのは、「若干名」は1名を含むのに対し、「数名」は2人以上の複数名であまり大きくない数の人数であることです。


「数日」の意味を、「2から10に満たない日数」と幅をもたせる新版広辞林(三省堂)がありますが、数日を「4、5日から5、6日」、数年を「4、5年から5、6年」とする一方、数名は「2名以上」と、少ない数を含む記載の大辞典(平凡社)があります。また、新潮国語辞典(新潮社)は数日を5、6日と限定しているのに対し、広辞苑(岩波)では、初版から3版では「数日」「数名」ともに「3、4から5、6」ですが、4版以降の「数日」は「2、3日から5、6日」で、「数名」は「3、4名から5、6名」と、「数名」で幅が狭くなっています。ここで、小学館の新選国語辞典に「若い世代ほど少ない数を指す傾向が強い」とする興味ある記述に気付きました。またこれを補完する内容がNHK放送文化研究所2003年発行の放送研究の調査(6月号)の≪ことばのゆれ、短くなる「数日」≫に記載されているのを見つけました。


平成8年の同様の調査では「数日後」の全年齢層の平均が「3.8日後」という結果が示されているが、平成14年に行った「数日は何日ぐらいのことを言うか」の世論調査で、20代~40代の平均は「2.8~2.9日」で、50代は「3.0日」、60代以上では「3.3日」と、若い人ほど「数日」を短い日数で捉え、60才以上では「数日」の感覚が長くなる傾向が示されている。「数日」と「数日後」で調査した言葉が異なるので、単純比較はできませんが、「数日」は、各年齢層とも段々に短くなってきている、と言えますね。


以上、5月の幹事会で、副会長を1名から2名への改定に際して気になった「若干名」と「数名」について、後期高齢者の身には実に深刻な暑さを、しばし忘れて調べて見ました。

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